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移住者インタビュー②

住んでみないと分からないことってたくさんありますよね。

​情報だけでなく、実際に大島に移住をした方の「実際」の声をお届けします。

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Interview.

加藤 由加里さん(51歳)

趣味:絵画・書道

​前職:養蜂など

東京の江戸川区から大島に小学生の娘さんと二人で移住された加藤さん。

移住して2年が経ち、東京での生活とどう変わったのか。

​これまでのこと、今のこと、これからのことについて話していただきました。

2021年1月13日

インタビュアー:地域おこし協力隊ヒョードー、吉海支所 村上課長

あぁ、良いところだな。私、ここ住んじゃおうかなぁ

▶ヒョードー

「大島に移住して、どれくらい経ちましたか?」

▶加藤さん

「2018年の11月に来たので2年ちょっと経ちました」

ヒョードー

「そもそも「移住」って、もともとしたかったのですか?」

▶加藤さん

「んー、そうですね。

もともと富山県の出身で、18歳で東京に出てきて長かったのですが、子供が生まれたときに「ずっと東京で住むのかぁ」っていう気持ちもちょっとあって…。
まぁ、東京は東京で良いところがたくさんあるんですけど、子供を育てるにはなんかちょっと田舎が良いなぁと思って。

で、東京で私、養蜂をやってて、東京に居ながら自然に触れるような生活はしてたんですけど。
でもなんか…、なんかやっぱり、なんていうのかなぁ、これはちょっとこっち(大島)に来て思ったことなんだけど東京でやっていたことは、所詮東京でやってたことだなぁというか(笑)
”自然”に憧れてやっていたことだったなって思って。
で、私、東京で離婚をして、その後でどこで暮らそうかと考えたときに「東京じゃなくてもいいかなぁ…、このチャンスにどっかに行っちゃおう!」と思ったんです」

ヒョードー

「なるほどー。

もともと東京でずっと住むってことに疑問があって、離婚を機に移住を検討されたのですね。

どうして、地元の富山ではなかったのですか?」

▶加藤さん

「いやー、なんかもうサッパリしたい!と思って(笑)

イチからがんばれるところが良いなぁって」

▶ヒョードー

​「色々な移住先がある中で、どうして「大島に移住をしよう」と思ったのでしょうか?」

▶加藤さん

「大島には東京の友達の実家があって、離婚を考えていた頃とかに子供と一緒に何回か遊びに来て泊まらせてもらったんですよ。
特に観光した、とかじゃなくって、友達が
ペイザンさん(大島の人気のパン屋さん・元移住者です)と仲が良いのでお店に遊びに行ったり、海を見てボーっと過ごしたりしてたら、ものすっごい癒されたんですよ。
なんか「あぁ、良いところだな。私、ここ住んじゃおうかなぁ」って思ったんですよ。
なんか、ここでなら何かやっていけるかなって。

ここでがんばってみようかなって思って。
移住の先輩のペイザンさんにも相談したりして。

それがまぁきっかけといえばきっかけです、うん。
だから私の場合は、離婚がなければ来てなかった可能性はありますね」

ヒョードー

「その中で、吉海町の今の家を選んだ理由は、やっぱりお子様が通学しやすいってことですか?」

<大島の学校> 現在、大島には小学校は2校あるが、中学校は吉海町の大島中学校のみとなっている。

▶加藤さん

「そうですね」

▶ヒョードー

「移住について、お子さんの反応はいかがでしたか?

▶加藤さん

私がここに住んでみようかなって思った時に、やっぱり自分が来たいという気持ちだけじゃなくて、子供にイヤって言われたらもうダメだし…。

娘に「ママ、島に住んでみようと思うんだけどどう思う?」って訊いたら「まぁいいよー!」みたいな

▶一同

「ハハハ(笑)」

▶加藤さん

「まぁ島もすごく良かったから「また、SUPしたーい!」とか、そんな感じでした。

この子の性分にも合うだろう、と。
ただ東京の学校は、すごく良い先生とお友達に恵まれていたので、それを引き離すのがすごく耐え難くて…。

離婚という事もあり、その点が心配でした。
でも島の海で遊んでいたときに同学年の吉海町の女の子と遊ばせてもらってすごく仲良くなったんですよ。

すごく気が合って」

▶ヒョードー

「そういう下地があったんですね」

▶加藤さん

「そうそうそう。

でも東京はすごいマンモス校だったけど、島の小学生は少ない人数で保育園からずっと同じメンバーでやってきてて、その中にポーンと入れられて馴染めるかなぁって心配だったけど。
でもこの子なら何とかやってくれると信じて
、島にはお友達もできてたし、ペイザンさんとかの知り合いもいたので、それで吉海町に決めて」

▶ヒョードー

「結果、娘さんは島に馴染めましたか?」

▶加藤さん

「そうですね。

結果的にはすごく良かったです。

最初、小学校ではすごく歓迎してもらって、あぁ良かったーって思ってたんですが、慣れてきた時に心配した通りちょっと寂しくなった頃があったんですよ。
島と東京のお友達や環境とかを寂しくなって比べちゃう。

私もそうですけど、島に来て「あぁ東京はこうだったな」とか…。
良いところ悪いところ含めて比べるじゃないですか。

でも島でできたお友達がいたおかげで乗り越えられて、今は本当に元気に学校に通ってるんで、良かったなぁと思ってます。

本当に良かった」

▶ヒョードー

「それは良かったですねぇ。

加藤さん本人としては、東京から大島に移住する前は不安はありましたか?」​

▶加藤さん

「不安は不安だらけですよね!

離婚したってのがあったんですが、まず住むところ。
どうやったら移住できるだろう、って現実問題を考えて。

地域おこし協力隊で移住することも考えたり。

でもちょっとタイミングが合わなかったり…。
家も不動産屋さんや友達に空き家はないか訊いたり、
空き家バンクで探したりして…。
結果、島の不動産屋さんの物件も何件か見て、決まって…。
とにかく、住むところと子供のことが何とかなれば、あとは何とかしようって感じで。

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​ご自宅近くの風景。

来島海峡大橋を望み、夕暮れ時は特に美しいです。

​確かに癒されます(笑)

島なので海まではすぐ。

海を見てぼーと過ごしたり、遊んだりしてリフレッシュできて最高ですね。

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瀬戸内海なので、海は本当に穏やか。

気持ちも落ち着きます。

​もちろん空もきれいです。

■よろずや(笑)

▶ヒョードー

お仕事って今はどうされているんですか?

▶加藤さん

「離婚やら引っ越しで本当にたいへんだったから島に来てすぐはちょっとのんびりしたかったんですけど、周りの人があれこれ心配してくれて、大三島のしまなみイノシシ活用隊のDAISHINさんを紹介してもらって、せっかくのご縁だから行ってみるかって思って、去年(2020年)の9月まで働かせてもらっていたかな。

でもコロナの感染拡大もあって休業になって…。
元の夫が狩猟免許を持っていたので、以前から猪肉と養蜂のハチミツを合わせたりして、料理をイベントなんかで出したり、ハチミツも販売したりとかそのようなこともやってたので、DAISHINさんや大三島にもご縁ができたと思うんです。

しまなみ海道を通勤ドライブするのは最高でしたし。
でもそこはずっと勤めようって思ってた訳ではなくて、今のお家で何かしたいってのもあったし、できれば大島で働きたいって気持ちがどんどん強くなってきて。

せっかく大島に来たんだし。

なのでDAISHINさんを辞めて、ヒョードーさんともご一緒したんですけどオリーブのポパイズクラブにお手伝いに行ったり、ミカンの収穫をお手伝いしたりとか、面白そうなところがあればちょこちょこ顔を出したりして。
地域の方と交流しながらまぁアルバイトしたり。
今は家を改修中なんですけど、ゲストハウスをやりたいなって思って。

まぁコロナがあるのですぐに開業って感じでもないからゆっくりやろうと思ってます」

ヒョードー

「ゲストハウス! 素敵ですね!

大島に来てからやってみようって思ったのですか?」

 

▶加藤さん
「んー、何かやりたくて。

絵も描くので、ギャラリー・カフェも考えたんですけど、以前島に来た時に泊まるところにちょっと苦労して…。
宿泊施設に問合せたら冬はやってないとかで断られちゃって(笑)
だったら泊まれるところを作っちゃえばいいんじゃないかと思って。

あと大島はすごく良いところだからぜひ素通りしないで、ゆっくり滞在して島時間を過ごして欲しいって思ったし…本当に。
「しまなみの大島の家に行こう」みたいな感覚で、
子供のお友達とかも来てくれたらウチの子供も喜ぶだろうし。
あとそうだ!

東京でもやっていたんですが、書道教室も始めようかなって思ってます!

大島の家でできることを模索してるところ。
あと、前に養蜂をやっていた関係で、東京にいたときからハチミツの石鹸やみつろうのクリームを作ったりしてます。
そんなんもちょこちょこやったり

▶ヒョードー

「その石鹸やクリームって、加藤さんが作って販売しているんですか?」​

▶加藤さん

「そうです

▶村上課長・ヒョードー

「へぇー!」

▶加藤さん

「これからいろいろと出来たらいいなぁと準備しているところです」

▶ヒョードー

「ハチミツ石鹸やみつろうクリームとかゲストハウスや書道教室とかすごいですね」

▶加藤さん

「んー、今までやってきたこととか、島にないことで何かできること・・・、いやいや、やれることは何でもやるしかないかなって感じです。

よろずや(笑)」

​※加藤さんのハチミツ石鹸やみつろうクリームは、大島のパン屋さんのペイザンさんや加藤さんのInstagram「しまなみ大島の家」にて購入できます。

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はちみつ石けん(上)【750円】
オリーブオイル、スィートアーモンドオイル、ココナッツオイル、パームオイルを使用し、はちみつとオーガニック精油を加え
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コールドプロセス製法で手作りし、1カ月以上熟成させています。

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オーガニックみつろうクリーム

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虫刺されや日焼けのケア、ちょっとした火傷に、痒み、すり傷に、ひじや踵のお手入れに鼻風邪の時に鼻下に塗ったり、頭痛の時にこめかみに指圧するようにつけたり、色々使える万能クリームです。

他に何が必要ですか?(笑)

▶ヒョードー
「例えば、今治市の陸地部(四国本土)で就労する、ということは選択肢としてはなかったのですか?」
​​
▶加藤さん
「そうですねー。

もう少し子供が大きくなるまではなるべくそばで、という気持ちもあります。

万がいち、何かあった時の事も考えますし。
それに今治(陸地部)に働きに出たら、東京の生活とあまり変わらなくなっちゃうような気もするんですよね。

仕事にもよりけりでしょうけど。


今治に出たら仕事はあるんだろうけど…。
なんかこう…こんなに島は良いところなのになぁって。
まぁ、移住者だからこそ島で出来ることもあるような気がして」

▶ヒョードー
「私もそうですが、移住者の方が余計にそう思うのかもしれませんね」

▶加藤さん
「そうですね。
だからこの島でなんかやって、自分がそうだったように、来てくれた人が「あ~良いところだな」って思ってもらえたら嬉しいなという感情がでてきました。
私ももっと地域の方と交流を深めて、私が知らないことはいっぱいあるから教えてもらって、来た人に良いところをご案内できたりとかお話しできるようになりたい。
あと、都会とか今の生活に疲れちゃったらね、もうぜひこの島に来て休んで欲しいって気持ちもあります(笑)
本当に私が島で癒され、浄化されたから!
来てちょっとのんびりすればきっと元気も出ると思うし、もう住んじゃってもいいし!

私みたいに。
良いところだと思うんですよ、
空き家はいっぱいあるし。

ぜひぜひ(笑)」

▶村上課長
「先日も少し前に移住されてきたご夫妻とお話しさせていただいたのですが、「こんな景色の良いところ、あまりないよ。眺めてるだけでなんか癒される」って仰ってましたねぇ」

▶加藤さん
「そうです!そうです!
あと、食材が豊富ですごく美味しい!

魚もフルーツもたくさんあるし」

▶村上課長
「魚はねぇ、ここは本当に美味しい。
ミカンなんかも安いでしょ」

▶加藤さん
「うん!
味が濃くて、甘くてジューシーですごい美味しい」

 

▶ヒョードー

「島に来て困ったことってありますか?」

▶加藤さん

「んー、そうですねぇ…、なんかいろいろあった気はするけど…、まぁ何とかやってきたかなぁ(笑)

庭を猪が荒らすとか、ムカデがでた!とか(笑)
本当に困った時は、移住者の先輩とかに相談して力になっていただきました。

移住者の方は、皆さん通ってきた道なんですよね。

そんな来てすぐになんでも上手くいく筈はないし、失敗もして。
「私たちは10年、20年かかって、今こうしてるのよ」とかお話ししてくれて。


う~ん、困ったこと…。

まぁちょっと不安に思ったりかなぁ…。

仕事大丈夫かなぁとか、子供ももいるしね。
本当にコロナが騒がれ出した頃はよく分からないから、もし私が倒れてこの子が一人になったらどうしよう、絶対に倒れられない! 
みたいなね」

▶村上課長

「移住者の方のサポートができるような体制があると皆さん少しは安心してもらえるかなぁ」

▶加藤さん

「あ、そうですね。

そういうのがあるといいかも」

▶ヒョードー

「今、コロナなんかもあって、テレワークとかで仕事ができるようになって、地方への移住を検討されている方も増えてきているみたいですが、移住を検討している方にアドバイスとかってありますか?」

▶加藤さん

「島に来て、困ったらぜひ訪ねてきてください!」

▶一同
「ハハハハハ(笑)

▶加藤さん

「私で良ければ相談にものらせてもらうし。

なんかねぇ、ちょっと話せる人がいると良いと思うんですよ、私。
結構ね、コロナもあるし不安になることもあるからね、ちょっと不安に思ったことを話せる場所とか人とかがいるとやっていけるかな。

まぁそして穏やかな美しい海でも眺めればね、考え方もこう…前向きになるし(笑)」​

▶ヒョードー

「海、好きですね」

▶加藤さん

「海、良いですよー!

本当に広い海や空を見てるとクヨクヨ悩んでるのがなんかバカバカしいというか。
人間なんて、ご飯食べて、こんな綺麗な海を眺めて、笑顔で暮らしていければそれでいいじゃないって、そんな気持ちになるんですよ。
他に何が必要ですか?(笑)

▶村上課長

「なんかええ話ししてくれるねぇ。

本当にその通り!

保居さんも同じようなこと仰ってましたねぇ」

▶加藤さん

「何とかご飯は食べていけるし、何かあれば助けてくれる人はきっといると思えるし。

「ぼちぼちやりぃ」と声をかけてくれたり、気にかけてくれるご近所さんもいる。

自然の中で子供が健やかに成長できて、美味しいものを食べて元気に暮らせたら、それ以上のことはないと思える。

シンプルで豊かだといえる生活がここでは出来るかなって」

▶ヒョードー

「大島に移住して良かったですか?」

▶加藤さん

「良かったです。

もちろんです!

なんか…うん、すごく良かったですね(しみじみ)
私は富山っていう故郷があるけど、子供にもね、大人になって、振り返った時に思い出せる故郷の美しい風景みたいなものを作ってあげたかった、何かこう土台になるような経験になればっていう気持ちもあって。

それにはもうすごく良い環境じゃないですか?
あと、ウチの子の場合は、移住したことによって東京の友達とももっと近しくなったんですよ。
移住して大変なころもあったんですけども、その時に東京の友達や先生が支えてくれて、東京の学校に遊びに行かせてもらったりとか、そういうのも島の先生も協力してくれたりして馴染めたんで、よりどっちとも(東京と大島)良い関係が出来たんです

▶ヒョードー

「確かに今は子供もSNSとかLINEとかをするので、距離感が近くていつでも繋がっていられますよね」

▶加藤さん

「そうですそうです。

で、「遊びにおいで」って言える場所が出来て、より東京の友達とも親しくなれた感じです。

彼女にとっても、自慢できる故郷のような場所になれば、と願っています」​

▶ヒョードー

「いろいろとお話しいただきありがとうございます。

何か他にも言い足りないこととかお話ししたいこととかってありますか?」

▶加藤さん

「言い足りないこと…。いっぱいあるような気がする(笑)」

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​ゲストハウス・書道教室・ハチミツ石鹸・みつろうクリーム・絵画ととにかく多才で好奇心旺盛な加藤さん。

終始笑顔でお話ししてくださいました。

​娘さんとの島での生活を穏やかに楽しく過ごされているご様子が伝わってきました。

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